遊川くんは我慢ができない⚠

　普通だったら１回断ったらおしまい。中学の頃だって、ずっとそうだった。


　だけど、遊川くんは諦めない。


　初めてのタイプで初めてのパターン。


「デートは難しい、かなぁ……」


　どうやって断ったらいいのかわからなくて、口から出たのははっきりしない返事。


　イラつかせちゃったかもしれないとか、呆れられちゃったかもしれないとか。


　遊川くんの反応が怖くて、行儀悪くカレーの中の溶けかけた玉ねぎを探す。


　遊川くんへの言いわけも。


　そもそも、いきなりのお誘いで心の準備ができてないんだもん。


　友達と遊びに行ったこともないのに、一足飛びで男の子とデート……？


　どうふるまえばいいのかわからないし……うまくできる自信がないよ！


「なにをそんなに深く考えてるの？」


　いつの間にか席を立ち、トンっと人差し指で私の眉間(みけん)を突いた遊川くん。


　間近に寄せられた顔には“わかんない”と文字が書かれているよう。


　立ってるだけで周りを明るくするような、笑顔にさせちゃうような。


　ずるいくらいに人と繋がるのが上手な人。