真面目な鳩井の、キスが甘い。
 芸人よろしく突っ込んだとき、不意に気になって教室の隅に顔を向けた。


「……!」




 教室後ろの扉から、鳩井(はとい) 和音(かずね)



 夢で会って以来の鳩井を思わず凝視していると、目があった。




 ドクンッ。




 う わ

 ヤバ




 ビックリして咄嗟に目を逸らす。




 ドッドッドッドッ




 ヤバイヤバイ、心臓、ヤバ





「……日向?」

「え!?!?」


 晴翔の声に大袈裟に驚いてしまって、その場にふさわしくない声量の『え』が出た。

 それ以上に心臓の音がうるさい。


「どうした?」

 晴翔が本当に心配してるときの顔で私を覗き込む。

「どっどどどうもしないよ!?」

「いやどうかしてるだろそれ」

「どうもしないって言ってるじゃん晴翔のうすらハゲ!」

「は!?ハゲをうすらめんじゃねーよ!てかハゲてねーよ!!」
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