真面目な鳩井の、キスが甘い。
 動揺をごまかすために必死で晴翔を罵倒してると、いつの間にか鳩井は教室の隅にある自分の席について、いつも通りうるさい私たちとは正反対の静かめな男子と何か話している。

 幼馴染たちにいぶかしげな目で見られながら私は顔を覆って、その指のわずかな隙間から鳩井を覗き見る。

 うわぁ、だめだ、やっぱり凄い意識しちゃう…

 鳩井ってひょろっとしてるけど、結構整った顔してるんだよなぁ。

 晴翔はよく親や近所の人たちにイケメンだって言われてるけど、その晴翔にも見劣りしないんじゃないかな

 特に唇とか、形めっちゃ綺麗だ…し……


「っ……、」


 私はガバッと机に突っ伏す。

 また夢の中でのリアルな感触を思い出してしまった…!!

 申し訳なさやら恥ずかしさやらで、とにかく顔に火が付いたように熱くなる。


 なんで、なんで、よりによって、鳩井?

 私にとって鳩井は、『気まずい人ランキング』堂々の第一位に輝く人なのに……!


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