小児科医の恋愛事情 ~ 俺を選んでよ…もっと大事にするから ~
第2章 告白
気づくと、彼女は涙をこぼしていた。

「え・・? あ、これ、良かったら使って・・」

俺はとっさにポケットからハンカチを出して、彼女に渡す。
普段は遠慮がちな彼女も、すっと受け取って目元にあてた。
涙を見られたくなかったんだろう。

それにしても・・。

「俺、なんかおかしなこと言ったかな・・」

小さくつぶやいたつもりが彼女に届いたらしく、彼女は首を横に振った。

「なんだかいいな・・って。先生みたいな人がそばにいてくれたら、みんな安心しますよ。きっと・・私も・・」

泣き笑いを浮かべた彼女の瞳からは、まだ少し涙がこぼれていて、思わず頬に手を伸ばして指ですくった。

「・・っ」

ピクッと身体が反応した彼女を見て、しまった!と思った。

「すみません、いつも子どもにもやっているので、つい・・」

言った後で、本当にそうなのか言い訳なのか、自分の中でも区別がついていなかった。
無意識に、手が伸びていたから。

「平嶋さん、後ろ向きで他のお客さんからは見えないし、涙がおさまるのをゆっくり待ったらいいですよ。普段、常に緊張してるなら、涙で少し解放されるって言うし」

「・・はい。なんだか先生には、初めて会った日から弱いところばかり見せてしまってる気がします・・」

俯いた彼女に、かける言葉が上手く見つからなかった俺は、テーブルに置かれていた彼女の左手をそっと握った。

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