小児科医の恋愛事情 ~ 俺を選んでよ…もっと大事にするから ~
「祐一郎にこうしてもらうと、思い出すことがあるんだ・・」

「え?」

「あれ・・寝言だったのかな。ハルと飲んだ夜にうちに来て、酔いが回った~って・・」

「俺、何か変なこと言ってた?」

これといった覚えがなかった俺は、何の気なしに聞いた。
寝言・・ねぇ。


「俺を選んでよ・・って言ったの。もっと大事にするから・・って」


「・・・・」


俺は、言葉を失った。

そんなようなことを考えたのは覚えている。
まさかそれを、口にしていたとは。

でもあの時は、それよりも『嫉妬ばかりしてる心の狭い男じゃダメか』って考えていたはずなんだよな・・。
そっちは、言ってなかったんだろうか。


「嬉しかったんだー。
私、初めて会った日から心配してもらうことが多かったし、本当に私でいいのか・・って全然自信が無くて」

「茉祐・・」

「それなのに『俺を選んでよ』って言われて・・。祐一郎も、迷ったり悩んだりするんだって思ったら、なんだか・・すごく愛しくなって。ずっと・・一緒にいられたらいいなって」

そうか・・だからその次の日、彼女がまた打ち解けてくれるようになったんだ・・。

俺は、彼女を抱き締めている腕に力を込めた。
彼女が、俺を振り返る。

「・・祐一郎?」

「俺、本当にもっと茉祐を大事にするから」

「うん・・」

「だから・・・・俺を選んで」

どうしてももう一度言いたくなって、彼女を腕に抱いたまま伝えた。
今夜は飲んでいない上に、吐息さえ触れ合うほどの近い距離で。

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