勇気を翼に込めて。

ドキドキ告白ドレミ


ドキドキ告白ドレミ


驚くかな、今までの私じゃ絶対に言えなかった。


「先生、何アイスが好き?」


不安だけれど、勇気を出して聞くんだ。


「……こ。」


「え?」





「きなこ。」


「きなこ???」



「あるんだ、ここに。」

そう言って先生は、一番高そうなアイスを選んだ。


「冬にアイス食べたいなんて、今時ですよね。先生震えちゃうから食べたくないんだけど、仕方ないか。」


憎まれ口と本音と。色々気になることはあったけれど。先生は、アイスを持ってレジに並ぶ。


「待ってて。」


「お金、」

「いいから。」


私は、コンビニの外のベンチに腰掛けて待つことにした。

「不安って言わないから不安なんだ」って誰かが言ってた。

きっとこの発言をした人は、ちゃんと言っているから不安なんて感じないんだろうな。

先生、本当は嫌なのかな。


「迷惑、かなあ。」

泣きたくなる。


先生が戻ってきた。

「気持ち話してくれるようになったよね、驚いた。」

先生が先ほどのぶっきらぼうな態度から一転し、にこやかになって戻ってくるもんだから、私は面食らう。





「付き合ってみる?」





「いいの!」



「おじさんだよ、ほんとにいいの?」


コーヒー飲みながらいうお医者さんの気持ちは、本当にそう思って心配なんだろうな、って。

「おじさんじゃないですよ。」

つい、お世辞じみたことを言ってしまう。


でもね、

「おじさんなんじゃなくて、私の大好きなタイガーマスクです。」


「……!」


喉に残って、咽せた。


「ちょ、」

「タイガーマスクになりたかったって言ってましたよね、覚えてますよ( ´∀`)」

先生が子供の時にやってたアニメ。

お父さんが幼稚園児の時にやってたって言ってたからお医者さんもせいぜいその辺の年頃だろう。分かるけど、分かりたくない。分からなくても、いいんだ。


だって、

「私は先生が好きだからいいんです。」


アイス食べましょ、私の声を聞いて笑顔になるお医者さんが見たい。

私のそばで優しい顔をするお医者さん。

わざわざ、タイガーマスクみたいに悪の正義を持っていなくてもいいけれど、私のヒーローなのに変わりはない。

好きです。先生。


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