私のお願い、届いてますか?
すぐに破り、握りつぶして、自分のカバンの内ポケットにしまった。後でゴミに混ぜて捨ててしまうつもりだ。

郵便受けに入っていたということは、部屋までバレているということ。

一体誰が…。

自分の腕の中の、華奢な梨々香を守らなければいけない。

そう思ってはいるけれど、今の俺にしてあげられるのは、梨々香を1人にしないことしかできない。

「…今日、家でデータ処理することにしたから」

「えっ…?」

「…明日も、元々午前中だけ行くつもりだったし、優先順位つければ、家でもできるものもある」

昨日のことを考えれば、数日一緒にいるのが1番いいと思った。

梨々香は、俺の急な話に驚いてる様子で、俺の方を見上げている。

「…さっき資料確認してたのって…やれる内容確認してたの?」

「うん…。月曜日から朝も送るし、帰りも迎えに行くから、絶対に1人で外出ないで」

「…だ、大丈夫だよ。そこまでしなくても…。あれだったら、帰りはタクシー使うし」

梨々香は、申し訳なさそうにそう口にしたけれど、そこは俺も譲れない。

梨々香のことだから、タクシー代がもったいないと、こっそり歩いて帰りそうだし。

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