私のお願い、届いてますか?

side 河田梨々香

ちょっと遅くなっちゃった。

秀人からのメッセージを見て、スーパーのすぐ隣の有名なドーナツ屋さんに寄った。

新作の発売日だったらしく、お店の前には長い行列ができていた。

新作、秀人喜んでくれるかな。

ドーナツの甘い香りが漂う箱を見て、思わず笑みが溢れた。










「ただいま」

そう言ったけれど、返事はなく、玄関の靴を確認すると、秀人のものはない。

どこかに出かけたのかな…?

ブーッブーッ

荷物を置くと、ちょうどスマホにメッセージが届く。

メッセージの内容にハテナマークを浮かべながら、書かれていた通りに、一度玄関を出て、すぐ近くの横断歩道を渡った所にある公園へと向かった。

公園のベンチの近くに秀人の姿を見つけて、駆け寄ると、すぐ近くに見覚えのある女性が座って俯いていた。

「…鈴木…さん?」

鈴木さんは、この近くのマンションに住んでいる作家志望の30歳の女性。よく立ち寄るコンビニでアルバイトもしていて、以前秀人と一緒にいるときに、お釣りの渡し間違いで、わざわざ追いかけてきてくれたことで、少しずつ距離が縮まった人。



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