私のお願い、届いてますか?
「…朝岡さん、警察の人から話は聞かれたんですか?」

面と向かって聞かれて、心臓がドクンっと大きく鼓動する。

「…はい。今回の件、藤田恵麻の事を知ってるのは俺だったので…」

沈黙の続く空間に、集中治療室内の電子音が静かに響いている。

「…関係…聞いたら失礼ですか?」

「えっ…」

まさか、そう来るとは予想していなくて、思わずぎょっとしてしまった。

「…すいません…。やっぱりこの話やめましょう」

俺の反応が明らかに動揺を表していたからか、相村さんはすぐにそう言って、お茶を飲んだ。

申し訳なさそうな表情ではないけれど、きっと俺が答えにくい質問だと感じ取ったのだろう。

俺は、小さく息を吐いて、ゆっくりと口を開いた。







「…彼女は…幼馴染です。ただ…高校1年生の頃から不登校になって…」

当時は何を聞いても頑なに答えなかった恵麻。後から風の噂で聞いたのは、俺に彼女ができたことが引き金だったということ。

恵麻の中で、何をどう思ってしまったのかは正直全てわかるわけではない。

俺にとって、恵麻は気心知れた幼馴染だった。恋愛感情はなかったけど、それとは違う特別な存在。

だけど、恵麻はそういうわけじゃなかったらしく、俺は無意識のうちに、恵麻の心に傷をつけた。




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