私のお願い、届いてますか?
「相変わらず、ほっとかれてるの?」

昔から秀人のことになると、ちょっと棘のある言い方になる悠太くん。

悠太くんは、彼女に尽くすタイプだから、秀人とは真逆なんだと思う。だから、根本的に合わない。

「ほっとかれてるわけじゃないよ。もうすぐ引っ越すんだけど、私のこと考えて会社の近くにしてくれたし…」

「…ならいいけど。本音ぶつけられないまま結婚とかにはならないようにしろよ」

「えっ?」

「じゃないと、どこかで爆発すると思うから…。なーんてな、俺がいうことじゃないな。悪い…」

私の手から爪楊枝を抜き取って、またたこ焼きを指してくれた悠太くんは、困ったように苦笑い。

「…ありがとう」

私はそれだけ言って、たこ焼きを口に入れた。

急にそんな話するなんて、どうしたのかな。もしかして、悠太くん自身の恋愛で何かあったのかな。

そんなことを思いながら、チラッと悠太くんを見る。

ぱちっと目が合うと、また苦笑いをしてワイシャツの袖をまくった。

ブーッブーッ

あっ、メール。

スマホに澪からメールが届く。

〝この人混みだから、花火打ち上がる時間になったら、神社の前の鳥居に集合でいい?〟

確かに。

悠太くんにもメールを見せて、花火の打ち上がる20時に集まることにした。


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