私のお願い、届いてますか?
数ヶ月前、あんなにすれ違いに悩んでいたのに、もしかしたらそれは本当に私だけで、秀人はずっと私のことを大切に思っていてくれたのかもしれない。

今回だって、きっと秀人だって、モヤモヤした気持ちになったはずなのに、私を責める言葉は一言も言わなかった。

私の方が…いっぱい迷惑かけてる…。

「そろそろ…寝る?」

手をタオルで拭きながら、尋ねる秀人に、私は小さく頷いた。












「…秀人…、怒ってないの?」

ベットに横になっている秀人の背中に話しかける。

「…大丈夫。怒ってないよ」

「…本当に?」

「うん…。ただ…」

そこまで言って、秀人は私の方に体の向きを変えた。

そして、そっと私の前髪に触れながら、口を開いた。

「…朝岡さん、イケメンだったから…ちょっと妬いた」

「…そ、そうなの…?」

「あと…梨々香の肌の露出が多かったのは…気になった」

…そういえば…あの日は、すごく暑かったから、ノースリーブのブラウスに、膝丈のスカートだった。

「…再来週の引っ越し終わったら…夜に引っ越しのお祝い兼ねて外食しよう?」

「いいの…?」

秀人、外食あまりしたがらないのに…。

「うん。…梨々香、食べたいの考えといて…」

途切れ途切れになったと思ったら、すぐに規則正しい寝息が聞こえてきた。

きっと、すごく疲れてるんだろうな…。





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