私のお願い、届いてますか?

side 相村秀人

いつのまにか寝ていたらしく、暗闇の中、はっとして目が覚める。

胸元に、ぴったりと梨々香がくっついていることに気がついて、起き上がるのはやめた。

まだ真っ暗だから、夜中か…。

梨々香の髪の毛からほのかに香るシャンプーの匂いに癒される。

おそらく、週刊誌の件で、梨々香は辛い思いをしたんじゃないかと思う。

有る事無い事噂され、梨々香はそういうのに平気なふりをしているからこそ、心の中でひどく傷ついている。

まさか、あんなふうに週刊誌に書かれるなんて、思ってもいなかっただろうな…。

そっと梨々香の頭を撫でると、モゾモゾっと寝返りを打った。

暗闇に目が慣れてきて、うっすらと見える梨々香の小さな背中に、抱きしめたい衝動に駆られたけれど、グッと堪える。

最近、自分自身が梨々香とは、結構言葉数が多くなっている自覚がある。

少し前に、もっと大事にしようって決めてから、自然と会話が増えていったんだと思う。

何年もかかったのが、ものすごく勿体無い気持ちにもなるけれど、こうやって、ちゃんと自分の気持ちを口にしようって思えたのは、相手が梨々香だったから。

ふーっと小さく息を吐いて、そっと仰向けに体勢を変えて、天井を見る。





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