私のお願い、届いてますか?
にしても…朝岡さんって人は、かなりイケメンだったな。モデルとか俳優って言われてしまえば、そうだと思い込んでしまうほど。

そして、朝岡さんと向かい合っていた梨々香も、目元は隠されていたものの、お似合いといわれてしまうと、何も知らない人は、そう思い込んでしまうような写りだった。

正直…妬いた。

でも、ここで嫉妬心を梨々香にぶつけることは、何も意味のないことで、むしろかえって、追い込んでしまうことになるんだと思った。

梨々香から、帰宅時間を確認するメールが届いた時点で、梨々香がちゃんと話をしたいんだということ読み取れたし、焦ってもいいことなんて何もないと思って、あえて梨々香の様子を見てからにした。

朝岡さんとは何もないけれど、きっと梨々香は罪悪感や後ろめたさは抱え込んでいる。

だから、あんなに涙を流したんだと思う。

明日から…大丈夫だろうか。押し潰されてしまわないだろうか…。

華奢な梨々香の背中を見つめて心配になる。

明日から、また泊まり込みが続く見込みだ。だけど、本当に梨々香を1人にして大丈夫なのだろうか…。

考えれば考えるほど不安が募っていく。

「…無力か…」

思わず言葉が漏れる。

今、何をしてあげたらいいのか、はっきりと思い浮かべることができない自分の無能さが胸に突き刺さる。




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