クールな番犬くんは学園最強のオオカミでした

……イヤ〜な予感、的中です。


わたしは群衆から抜けだして、対立する2つの勢力の視線を独り占めしていた。


危険なオーラをまとうイケメンたちに跪いているこの状況……。あはは……最悪です……。

乾いた笑みが漏れる。



「だれ?」


不思議そうに首をかしげるクリスサン。

しどーさんは鋭い目つきで見下ろしてくる。


「大丈夫⁉︎」


すぐにハルルが心配してかけ寄ってくれたけど、恥ずかしくて情けなくて……たぶんわたしの顔は真っ赤だと思う。


今すぐ逃げだしたいのに、大勢の視線が鎖となってわたしの体に巻きついている気がして動けない。

うぅ……恥ずかしすぎる。



「ほんと東と北は野蛮だよね」


しかし、居心地が悪いくらい気まずい雰囲気に、穏やかで優しげな声色が切って落とされた。


おかげでみんなの視線が声のする方──わたしの後ろへ向いてくれた。

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