クールな番犬くんは学園最強のオオカミでした

「陶芸体験とか意味わかんなくない?」

「まだボーリングとかのほうがいいよね」


すると、すかさず女子集団の方から文句の声が上がった。


不満を陰で吐いてるつもりなんだろうけど、すべて聞こえてしまっている。


「えーでもこの際、場所はどーでもよくない?行けさえすれば」


えっ……行けさえって、まさか。

わたしは思わず八巻くんを見た。


目が合うと、彼はものすごい勢いで頭を下げた。


「ごごごめんなさいっ!僕のせいです!僕が予約を取り忘れてて、バスもまだ申しこんでなくて……」


あまりの勢いにたじろいでしまうほどに。


「黒刃高校の遠足は、企画やアポ取りから当日の誘導まで、すべて遠足委員がやる決まりだ。西組はまだ行き先すら決まっていない」


はえ〜……。


「遠足は4月21日。それまでに企画から当日の引率まで全部おまえがやれ。西組の連中に新総長として顔を売るちょうどいい機会だろ」


佐紺先輩の説明は、最初から最後まで理解に苦しむものだった。

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