冷めた紅茶


 彼の好みの女になりたくて我慢してきたけど、私はどこまでいっても私だ。


 嫌いなものは、どうしたって好きにはなれないし、許せないことは絶対に許せない。



 どんなに美辞麗句を並べ立てようと心のこもっていないものは分かってしまう。



 その言葉の裏側に何が潜んでいるのか見えるものだ。






 街を歩きながらウィンドーに映る自分を見た。
 彼好みのカジュアルファッション……。
 嫌で嫌で堪らなくなる。



 私は私の好きな服を着て好きな物を食べて
言いたいことは、ちゃんと言おうと決めた。





 お気に入りのお店へ久しぶりに顔を出す。
スーツやワンピース、パンプス、やっぱり落ち着く。
 着替えて新しいスーツで家に帰った。





「おかえり。会って欲しい人が居るの」
と双子の姉に言われた。



 リビングに行くと……。
 そこに居たのは……。


 背の高い男性……。

 さっき別れた彼……。


 端整な顔が、だんだん青ざめていくのが分かる。




 私は、思いっきりの笑顔で
「初めまして」と挨拶した。




     了





< 2 / 2 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:13

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

見知らぬ愛人

総文字数/10,416

恋愛(純愛)9ページ

表紙を見る
表紙を見る
涙の涸れる日

総文字数/100,000

恋愛(純愛)152ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop