初色に囲われた秘書は、蜜色の秘処を暴かれる
そもそも本妻の息子である紡と妾の息子である貴糸の仲はふつうの兄弟と呼ぶにはぎこちないもので、紡が総合商社の次期社長として着実に地位を固めている傍ら、次男の貴糸は放任されているようなものだった。祖父から愛情を受けることはなかったが、一通りの教育を受けることが叶った貴糸は、一族の繁栄のためではなく、兄が婚約破棄した幼馴染みの女の子のために自ら動き、ここまでたどり着いたのだ。
「水くさいはなしはこのくらいにして、脱がせてかまわない?」
「え、と……」
「キスより先のこと、したいんだろ?」
貴糸は樹理の父親の会社の次期社長になることが決まり、その専属秘書として樹理を選んだ――自分の花嫁に迎えることを前提に。
初恋は叶わないなんていうけれど、貴糸は彼女を囲いこんで、その気にさせる。