二度目の好きをもらえますか?
「彩月の(うち)行くぞ」

「えぇ??」

 脳内は焦りとドキドキが支配していて、私は軽くパニックを起こしていた。賢ちゃんに掴まれた右手から全身に熱が送られる。

 さっきの言葉もちゃんと確認したいのに、心臓が早鐘を打ち、できない状況にある。

 賢ちゃんに引っ張られるままに、彼の言葉通り、私たちは私の家の玄関をくぐった。

「さっちゃん、お帰り。おそかっ、」

 リビングから出てきたお母さんは、たちどころに言葉をなくした。私と並んで立つ賢ちゃんを見て、幾らか驚いている。

「帰すのが遅くなって、すみません」

 そう言って、賢ちゃんはお母さんに頭を下げた。傘こそ仕舞ったけれど、私の右手はまだ彼に繋がれたままだ。

 頬が熱くて、顔が火照っていると自分でも分かる。

 これは一体……、どういう状況??

 ***
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