二度目の好きをもらえますか?
「付き合ってるの本当? じゃなくて、本当に付き合ってるの? って言い方だったでしょ? なんか、彩月が馬鹿にされてるみたいでイラっとした」

 麻衣子は自分の手元を見据えたまま、淡々とお弁当箱を片付ける。

「……そだねぇ」

 箸を動かしながら、私も残りのご飯を食べきった。

「賢ちゃんはモテるし。私じゃ釣り合わないって思われてると思うけど……まぁ、関係ないしね」

「そうそう」

「て言うか、まだ片思い一年生だし」

 ハァ、と大仰なため息をつきながら、私もお弁当箱を重ね、ランチバッグの中に仕舞う。

「大谷とはまだ話せてないの?」

 ため息の理由を察した麻衣子が、心配そうに眉を下げた。私は力ない瞳で彼女を一瞥し、小さく頷く。

 賢ちゃんへの想いを自覚したあの瞬間から、私は彼と全く話せていない。話しかけて無視をされる、というわけではなく、学校で話しかけるのを躊躇ってしまう。噂のせいで、周りの目を気にしてしまうのだ。

 ならば学校の外でと思うのだが、まず朝の登校時間が同じにならない。前までは一週間のうち、四日も同じ時間で登校していたのに今日までずっとバラバラだ。
< 66 / 193 >

この作品をシェア

pagetop