君に、虹色の恋をした。
 朝、いつもよりも少し早い時間に家を出た。

 今日はいつも以上にちゃんとしたんだ。
 髪もストレートアイロンで整えて、制服もちゃんと着こなした。

 今日は今私の人生で一番大事な日になるだろうから。一生心に残ると思う。初めてすることだから、もっと心に残るはず。
 そう、とにかく心に残るわけ。

 だから、ね。

 なんか今日、すごいヤケになってる気もするけど、知らないっ。

 ていうか今日私じゃないっ。

「いってきます!」

 今日はお母さんにも「紗奈、ちょっと変わった?」なんて言われた。
 うん、飛颯くんが私を変えたの。なんて言えるかよ! ああ、キャラとか口調とか、もう全部変わっていく……。これが本当の私なのかな、それとも感情とかがそうしてるだけ?

 学校に向かって歩き始める。

 すると後ろから「紗奈ちゃーん」と呼ぶ声が聞こえた。
 飛颯くんだ……。

「おはよう」

 今日のターゲット。

 そう考えるとなんだか重くて、ごくんと唾を飲み込む。

「おっはよ」

「飛颯くん、いつもこの時間?」

「そやよ。いつも紗奈ちゃん見かけんから見つけたときはびっくりしたんよ」

「今日はいつもよりも早く行こうかなって思って」
 飛颯くんに会いたいし。
 あわよくば飛颯くんと一緒に登校したいし。
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