さよなら、坂道、流れ星

第6話 帰り道

「もうすぐ夏休みだね。」
いつも通りの帰り道、千珠琉が言う。夕方とは思えない強い陽射しの中、セミの声がうるさいくらいに響いている。
「早いな。」
「えーそう?やっと夏休みって感じだよーこんなに()っついのに学校辛い〜!」
「それもそうか。」
昴がなんだか上の空で遠くを見ている気がする。
「昴なんか元気ない?夏バテ?」
何気ない問いに昴はハッとする。
「いや、ちょっと考え事してた。コンビニ寄って帰ろうぜ、ぺピコ買おうぺピコ。」
(なーんかまたはぐらかされた…)

「昴ぺピコ好きだね。」
2つ繋がったアイスをパキッと切り離している昴に言った。
「そりゃそうでしょ、2つ入ってるんだから。」
「ヒャ!」
言いながら昴が千珠琉の頬にアイスを押し付けたので、変な声が出てしまった。
「ヒャ!だって。チズの顔サイコー。あはは。」
「さいてー!!でももらうー…。」
千珠琉は笑う昴を恨みがましい目で睨むとアイスを食べ始めた。
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