The previous night of the world revolution7~P.D.~
何か試しているのか、確かめたいのか知らないが。

ブロテの思惑など、俺の知ったことではない。

さっさとルレイアを返せ。俺が言いたいのはそれだけだ。

「…早くルレイアを解放しろ」

「勿論、そのつもりだよ。でもその前に…君に話したいことがある」

「何だ」

俺には、お前と話すことなど何もないのだが?

大体俺のようなマフィアの人間が、帝国自警団のお偉いさんと話など…。

「ルレイア・ティシェリー卿に、『青薔薇連合会』から脱退するように頼んでもらえないかな」

「…は?」

…何が出てくるかと思ったら。

あまりに突拍子もない頼み事をされて、俺は思わずポカンとしてしまった。

聞き間違いか?

そうに違いない。

…しかし。

「彼は本来、裏の世界にいるべき人間じゃない。これ以上の悪事を重ねる前に…正しい道に戻るべきだと思うんだ」

ブロテの方は、至って正気だった。

…頭大丈夫か?この女。

俺はブロテの意志を確かめたくて、まじまじと彼女を見つめた。

何か罠に嵌めようとしてるんじゃないかと思った。

が、やはりブロテは至って真面目な顔で、どうやら冗談を言っているようではなさそうだ。

…いっそ笑えない冗談だったら、どんなに良かったか。

「…それ、ルレイアにも言ったのか?『青薔薇連合会』をやめろって」

「そうだね、言ったよ」

「そしたら、ルレイアは何だって?」

ルレイアの言いそうなことは、大体想像がつく。

すると、案の定。
 
「…『クソ食らえ』と…」

やはりな。

いかにも、ルレイアの言いそうな台詞だ。

そんなことだろうと思った。

帝国自警団に囚われていても、どうやら通常運転のようで安心した。

「なら、俺も同じ答えだ」

ルレイアの台詞を引用させてもらおう。

クソ食らえ。

「…協力してもらえない?彼を表の世界に戻す為に…」

「お前は帝国自警団の仲間に、『お前はここにいるべきじゃないから出ていけ』と言えるのか?」

「勿論、そんなことは言えないよ」

そうだろう。

なら、俺も同じだ。言えるはずないだろ。

ルレイアは当然そんなこと望んでないし、俺だって望んでない。

誰も望んでいないことを、どうして俺がルレイアに強要出来る?

ましてやブロテに協力など、とんでもない。

この女の言いなりになどなるものか。

しかし。

「だけど、帝国自警団と『青薔薇連合会』は違うよ。彼は今、裏の世界にいる。本来ルレイア卿の居るべき場所じゃない」

あんぽんたんな理屈をつけて、ブロテはなおも食い下がってきた。

…今いるこの世界が、ルレイアの居るべき場所じゃないだと?

「彼は本来の居場所を奪われたから、『青薔薇連合会』に入っただけだよ。あんな…『不幸な事故』がなければ、彼は今も表の世界にいられたはずだ」

「…」

…「不幸な事故」だと?

お前が何を何処まで知っているのか知らないが…。

危うくルレイアを心を殺すほどの出来事を、たかが「不幸な事故」と一言で片付けられるのは…いただけない。

どうやらブロテはルレイアの身辺を探って、知らなくても良いことを知ってしまったようだ。
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