深紅の復讐~イジメの悪夢~



「愛香〜!!ご飯だよ〜!遅刻するわよ〜!!」



下の階からお母さんが大きな声で言う。

「ん……え……!?わっ!7時!!うん。今行く!!」


あたしは、時計を見て飛び起きた。

瞬間、頬に感じる違和感。

手で拭ってみると、濡れていた。


「涙………?」


寝ている間に泣いたのだろうか。

なにか、懐かしい夢を見ていた気がするが、思い出せない。

あたしは、制服に腕を通して階段をバタバタと降りた。


「おはよう、お母さん。」

「おはよう、愛香。ご飯食べちゃいなさい。」

「うん。」




……は?

テーブルについて、絶句する。

なに、これ。

テーブルには、朝ごはんとは思えないものが乗っていた。


「お母さん…朝からステーキってどういうこと?」

「ああ、昨日、愛香が部屋にこもっちゃったから、元気の出るものね!!」

「う…うん…。」



お母さんはこういう行き過ぎたところがあるからな…



「ねえ、お母さん…」



一か八かだ。

お母さんが、あたしの味方かどうか、今、判断する。

今のお母さんは、一見あたしの味方だ。

でも、いざという時、あたしを助けてくれるのか。

あたしは、それを確かめたかった。

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