錆びきった鐘は
錆びきった鐘は
「あれっ、山原?」




聞き覚えのある声が、冷たい風に乗って耳に入った。


身体を後ろへ動かし、声のした方を見る。


青や赤、黄色や緑といったカラフルなイルミネーションをバックに、久しぶりに見る姿があった。




「えっ、皆城くん……?」



数メートル離れている距離は、私が一歩踏み出したことにより少し縮まる。


だって、皆城くんとこんなところでたまたま会うなんて思わないんだもの。



皆城くん―もとい皆城勝基くんは、小学生の頃の元クラスメイト。


そして、私の……初恋。
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