高嶺の花も恋をする【番外編追加】
☆番外編 ③☆
最近、やたら佐伯くんの噂話を耳にする。

「ねえ、人事課の佐伯さんて最近何かカッコよくなってない?」

「あー!私も思った。この前話かけたら、すっごく優しいの〜」

「髪切ったら意外にイケメンでビックリしちゃった!」

「えー、でも雨宮さんが彼女でしょー。ムリ、ムリ」

「でもさー、飲みにくらい誘っても良くない?」

「あー、沙里狙ってるでしょ」

「え〜。バレた?」

なんて、キャアキャア騒いでるのを耳にして、むかっ腹立てたのもつい先週の事。

そして今さっき。

「佐伯さーん、今日のスーツもオシャレで素敵ですね」

「本当?ありがとうございます。彼女に伝えておきますね」

「え?...。ああ、それよりも今日の夜飲み会があるんですけど、佐伯さんも参加して頂けないですか?みんなに佐伯さんを誘って欲しいって言われているんです〜」

「う~ん、すいません。折角ですが、夜は彼女が食事の用意をしてくれているので、他の方を誘って下さい」

「え〜」

そんな風に誘われているのを目撃してしまった。

可愛らしい女の子が上目遣いで佐伯くんに話しかけている。

スーツ姿が素敵なのは当たり前よ!

一緒にスーツ選びに行った時に、トータルコーデで佐伯くんに一番似合うのを2人で選んだんだもの。

それに!飲み会に誘ってどうするつもりなの。

飲んで酔った振りして、佐伯くんを落とそうとするんじゃないの?

そんなことされたら.....。

ムカムカ、ムカムカ。

それに髪型変わってイケメンとか。

狙ってるとか。

夕食の支度をしながら思い出してしまい、ビーフシチューの鍋をグルグル・グルグルと高速に混ぜていると、後ろから包み込むようにハグされて、驚きのあまり身体がビクッとした。

「キャッ」

驚いた声をあげると、耳元に唇を付けて低い声で囁かれた。
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