高嶺の花も恋をする【番外編追加】
「何騒いでいるの?」

その声に反応して振り向くと、佐伯くんがそこにいる。

この場にいる皆とは違う、ふんわりとした空気をまとって。

「どうしたの?真っ赤な顔して」

ん?と私を伺うような表情を見せる佐伯くんに、亜香里がこの状況の説明をした。

「みんながね、あんたたちの付き合いはどうかって聞いてたらこの子、佐伯くんがもう凄いの~って言い出して、みんなぶっ飛んじゃってこの始末よ」

亜香里の大雑把な説明でも佐伯くんは理解したらしく、クスクス笑いながら「また?」と私の頭を撫でながら私を座らせて、そのまま隣に腰を下ろした。

「言い方間違えちゃった?」

そう言って私の顔を見て、聞いてくれたから急いで説明をした。

「そうだよ。私は佐伯くんはすごく優しくて、大切にしてくれて、幸せにしてくれるから、佐伯くんは凄いって言っただけなのに・・・」

ってまた恥ずかしくなって両手で顔を隠すと、「それは褒め過ぎだよ」と謙遜する。

すると大森くんの声が割って入ってきた。

「すげえな~、しっかり出来上がっているんじゃん。佐伯もいい具合で柔らかくなってるし。ドライな佐伯は跡形もないな」

からかうようにそんな事を言っているけど、前回の同期会で佐伯くんと私が交際宣言をした時に「佐伯、雨宮以外の女子にも敬語やめれば?」と言ってくれたのも大森くんだ。

その直後からみんなともたどたどしくも普通に話し始めて、この同期会もより密になった気がする。

そんな風になごみ始めた中、少しお酒の入った小林くんが「それで?お前らの性事情は?」とまたもやぶち込んできた。

すると間を置くことなく佐伯くんが「それは僕達の秘密」と言いながら人差し指を立てて口に添えた。

その言い方が凄く色っぽくて、一瞬シンッとなったけど、すぐに大森くんが「おお!マジか!」と笑いに変えてその場が盛り上がっていった。
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