高嶺の花も恋をする【番外編追加】
☆番外編 ⑤☆
僕の彼女は可愛い。

可愛いくてたまらない。可愛すぎる。

外見だけで言ったら、とんでもなく美人だ。

冷たい印象を与える美人ではなくて、華やかで誰もが憧れて好感を持つ美しさ。

その上肌も透き通るような白さだ。

彼女はみんなの視線を集めてしまう。

僕は入社時の研修で初めて目にした彼女にハッとした。

吸い込まれるように視線を奪われてしまった。

そんな彼女は研修時も気さくに誰とでも話してよく笑っていた。

その笑顔は魅力的で見入ってしまう程美しい。

だから彼女はいつも多くの人に取り囲まれて、僕が話しかける余地なんて微塵もなかった。

まあ僕は彼女じゃなくても女性とは上手く話せない、そんなつまらない奴だったから。

大学生の頃、告白されて付き合った彼女は僕をいいように使ってワガママ放題だった。

それでも可愛い顔立ちにメイクをすると、綺麗寄りな可愛さを見せていて、そんな彼女を好きだと思った。

「私のこと好き?」

そう聞かれれば素直に「好きだよ」と答えていた。

その頃の自分は確かに彼女が好きだった。

ワガママに付き合い、欲しいと言われた物をプレゼントして。

でも彼女の求める男ではなかったようで。

付き合って半年もしないうちに言われた言葉。

「佐伯くんって顔はいいけど〜、つまらないよね。強引な男らしさもないしさ。何か思っていたのと違うみたい」

そう別れを告げられた。

ほぼ全否定で思いっきり自分に自信を無くしてしまった。

自分は男としてつまらない奴で、付き合う価値のない男。

それからは女性が怖くなって、ほとんど話す事ができなくなった。

残る学生生活は誰の事も好きにならず、女友達ももちろんいなくて。

みんながあだ名や名前で女性を呼ぶのに、僕は満足に苗字さえも呼べないまま学生時代を終了した。

そして社会人になり雨宮莉緒という美女に出会い、最初は感じたことのないドキドキを経験したけど、相変わらずの僕は彼女だけでなく会社の女性の誰とも打ち解けることがなかった。

同期のみんなが苗字の呼び捨てや名前で呼び合う中、僕は女性全員にさん付けで呼び敬語で話していた。
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