身代わり婚のはずが冷徹御曹司は一途愛を注ぎ貫く
ミッション中に絶対酔うわけにはいかずジンジャーエールで乾杯をすると、彼はひと口飲んでグラスを置いた。
「無理を言って呼び出した自覚はあるが、きみを手に入れたい。どんな手を使っても」
食事をしながらも熱い視線に射貫かれ、さらに言い出しづらくなる。私が香波でよかったなと、彼に対して思った。花純は貴仁さんのような強引な物言いをするタイプは嫌いなのだ。本人にそんな告白の仕方をしたら「怖い」と言って誰かの背に隠れて泣かれ、彼は大ショックを受けただろう。
私ももちろん優しい方がいいが、優しさの裏に獣の本性を隠している男性をたくさん見てきた。そこは一長一短というか、強引だろうが奥手だろうが最後はその人の本性が出ると思っている。
「貴仁さんのお噂もいつも耳にしていましたよ。素敵な方だと思っていました。それにとても情熱的なのですね……私、恥ずかしいです」
私は頬に指を当て、頬の筋力をすべて溶かすほどの笑顔を浮かべて可憐さを演出した。
ところが貴仁さんは少し固まり、今度ははっきりと眉根を寄せる。
「いや、やはり少しイメージが違うな」
もう! こんなにがんばって花純を演じているのに、どうして違う違うと言うのだろう。