身代わり婚のはずが冷徹御曹司は一途愛を注ぎ貫く
「嘘です、そんなの」
「嘘じゃない。あの日から、俺は香波のことしか見えていなかった」
彼は勢いにまかせここぞとばかりに甘く囁いてくるが、まったく話が見えてこない。恥ずかしくなって再び胸を押して距離をとると、今度は彼の朦朧とした視線にのぼせそうになる。
「あの日って……?」
彼がずっとこだわっていた花純との出会いはいったいどこへ消えたのか疑問だ。そんな急に、今度は私が運命などと言われたって信じられるはずがない。
「創立記念パーティーの日だ」
「……え」
その日って。
「俺はあの日、エレベーターで助けてくれた女性に一目惚れした」
……待って、まさか。
「あれは花純ではなく、お前だったんだろう、香波」