身代わり婚のはずが冷徹御曹司は一途愛を注ぎ貫く
バレていたなんて。その事実にも唖然としたが、もっと信じ難いのは、彼があのときの私に一目惚れしたということだ。なにか惚れる要素があっただろうか。私にしたら失礼なことをした記憶しかないのだけど。
「俺は今日まで相手を花純だと思い込み、香波にあのような態度をとってきた。勘違いしていた。俺が好きになったのは、最初から香波だった」
好きだと言われた瞬間、私の顔は火が着いたように熱くなった。うれしいと感じているが、いきなりのことでまともに顔が見られない。だってさっきまで、別れると覚悟をしていたところだったのに。
固まっていると彼は「香波」とささやいて距離を詰めてきたため、私はとっさに顔を背けた。
「や……あの、待って」
「なんだその反応は」
「すみません、ちょっと、ビックリして……」
「その顔もかわいいな……。こっちを向いてくれ。冷たくしてすまなかった。これからは思う存分甘やかしたい」
あ、あ、あ。なにこれ。待って。首筋に顔を埋められる刺激とともに、これまでとギャップのありすぎる言葉に溺れそうになる。どうしてこんなことをされているの?
不思議だが、彼が花純を好きだと思っていたときは平気だったのに、同じことをされていても気持ちまで私へ向いている今はとてつもなく恥ずかしい。