身代わり婚のはずが冷徹御曹司は一途愛を注ぎ貫く
「怒らないんですか? 私は花純のふりをしてパーティーに出ていたのに」
「怒れないな。もしも花純が出席していたら、俺は香波と出会えなかったことになる。乗り合わせたエレベーターが停まって今では妻になっているなんて、まるで奇跡だと思わないか」
ひとつ質問を絞り出したら愛の言葉が十も返ってきたため、たまらず口を閉じる。顔が熱いし、心臓もうるさい。平静を保つために無意識にいじっていた髪が乱れて口に入ったため、それを取って耳にかけた。
「ダメだ……我慢できない。お前を好きだと言いながら抱きたい」
「え、やっ……」
なにを言い出すのかと思いきや、彼は焦点の合わない瞳でこちらへ迫ってきた。ソファを背後に押され、お尻が着くと「ギシッ」と音を立ててのしかかってくる。
「貴仁、さん、ちょっと」
「今夜は俺が尽くそう。こんなにかわいい妻をもらったからには、ちゃんと愛でないとバチが当たりそうだ」