政略結婚から始める熱愛偽装



 いくら容姿が優れていようとも。二人の生い立ちは必然として異性に対する交流を蔑ろにする道筋を辿り、お互いにキスした経験は、赤子の頃に受けた両親からの愛情のみ。


 両者跡取りに成るべくして、勉学に励み、交友関係は敵を作らず、恋情を育ませぬがモットー。


 つまり…ファーストキスは愚か、童貞・処女。異性との交際歴は皆無。



 男政宗、一に勉強。ニに筋トレ。三四を飛ばして趣味に時間を費やす。


 女雪乃、一に勉強。ニに稽古。三にお茶会、四休暇。



 万年男子校、女子校出の両者。


 己に近付く者は皆、下心ありきの曲者だ。勝手にそう叩き込んだ学生時代。



 華々しい社会人デビューも、就活要らずの半強制永久雇用。


 会長の息子というプレッシャーに打ちひしがられないように鍛えた抜かれた強靭な魂。趣味の筋トレで鍛え抜かれた肉体美。


 政宗は名言を残していた…「筋肉は裏切らない。」どや顔が目に浮かぶ。



 会長の娘というプレッシャーは、オールスルー。耐え難い時は誰も見ていない場所で壁を蹴るなり殴るなり…但し、傷物になれば後始末が大変なので、そこは巧いこと熟す。


 雪乃の口癖は、「うざい・きもい・◯ネ」…最後の一言は割愛させて頂こう。







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