政略結婚から始める熱愛偽装


 まあそれはさて置き、ブランコにぶら下がった政宗は、そのまま懸垂を始めると、遂に日が出てきた。


 眩い光に照らされて、ランニングで掻いた汗が、キラキラと輝く。



 一日のノルマ五十回。終盤苦しみ悶えながら終わらせると、全身汗でびっしょりだ。


 帰りは様々なステップを踏みながら帰宅する。


 ランニングシューズを脱ぎ、そのままお風呂へと直行だ。




 非の打ち所がない筋肉で覆われた屈強な肉体美。シャワーを浴びる姿には惚れ惚れしてしまうこと間違いなし。



 全身を隈無く洗い終えると、腰にタオルを巻いたまま、仁王立ちで髪を半分乾かす。

 その後は微妙に生えてきた髭を剃り、顎に手を滑られせて剃り残しが無いか確認を取る。


 黒髪短髪、男は黙ってジェル。手のひらに適量を出すと、髪全体に濡れ感が出る様に馴染ませ、コームで毛の流れを作りつつ纏める。


 七三分けが古い?流行ってのは、巡り巡ってくるものさ。


 ヘアセットが完了すれば、自室に上がりスーツに袖を通す。

 
 クローゼットに掛けられた何十着と在るスーツは、全てオーダーメイド品。


 本日は薄いグレーの気分だ。紺色に微かに刺繍が施されたネクタイを巻き付けて、はい完成。



 これが神楽 政宗の出勤前のルーティンである。




 

 
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