俺様社長は純情な田舎娘を溺愛する 〜その後のエピソード〜
坂口麻里奈…、
かろうじて名前を覚えているだけの、
後腐れ無い関係の女だった筈だ。

四年以上前、
バーで知り合い、流れで一度だけ寝た女。

忘れた頃に何度か電話やメールがあったが、あえて全てスルーしてきた。

噂では結婚したと聞いたが、翔にはそれ以上の情報は無い。

「翔に会いたくて…。
結婚したって聞いて、居ても立っても居られなかったの。」

翔は詰め寄って来る女から、果穂を守るように一歩引き、冷たく言い放つ。

「あなたに呼び捨てにされる程、
親しい間柄では無かったと思いますが。
彼女を起こすといけない部屋に戻ります。
話はその後で。」

翔は踵を返し早々とその場を後にする。

俺が面倒で、無視続けたのがいけなかった。此処らで、ちゃんと清算しておかないといけない案件だな。

エレベーターに乗り、部屋に入って果穂の靴を脱がせ、起こさないようベッドにそっと下ろす。

はぁーっとため息をついて、
フロントに電話をして話し合いの為に個室を用意する。

果穂が目を覚さした時、俺が居ないと不安にさせてしまうかもしれない。
置き手紙をしてから、そっと額にキスをして部屋を後にする。

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