俺様社長は純情な田舎娘を溺愛する 〜その後のエピソード〜
第三話 夫婦の在り方

ボディーガード

結婚式が無事に終わって、季節が冬に変わり、こたつが恋しくなってきた頃。

世の中はクリスマスシーズン。

駅周辺にもイルミネーションが輝き
果穂のキッチンカーにも小さなクリスマスツリーが飾られている。

夕方閉店近く、
いつもの常連さんが数名、一杯のコーヒーに温かい優しさを求め列をなす。

一つだけ違う事と言えば、
キッチンカーの近くのベンチに、
恐顔な男がこちらを見据えている事だ。

彼が誰かと言うと、
兼ねてから雅也が翔に推薦していた男。

ヘリコプターが操縦出来る、元自衛官上がりの森元新一32歳である。

社有のヘリコプターを無事に手にする事ができ、幹部達の移動手段として重宝している。

ただ、毎日運用するほどでは無い為、 
ヘリの操縦がない日はボディーガードとして勤務する事になった。

通常は翔の側で、秘書の様な仕事をこなしながらSPの様について回るのだが、

夕方、辺りが暗くなって来る頃、
どこからともなくやって来て、こうやって果穂のボディーガードをしている。

社長の翔たっての希望である。

普段の翔なら、果穂の男性不信もあって、
決して自分以外の男を、果穂には近付けさせない。
ただ、この森元は既婚者であり一児の父である事。

愛妻家で、超が付くほど真面目な性格を見込み、こうして最愛の妻を守る役目を担う事を許したのである。

それと言うのも数日前、果穂のcafeに不審者が現れたからだ。

翔にとって何よりも大切な妻だから、出来れば今すぐ営業を中止して、安全な場所で囲ってしまいたいぐらいなのだが…。

自分の我儘で、彼女をこの東京に縛り付けていると言う負い目があり、これ以上彼女から自由を奪う事は出来ないと思っている。

このキッチンカーを開く事は果穂のたっての願いであり希望だった。
翔の思いだけで辞めさせる事は到底出来無いのだ。
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