俺様社長は純情な田舎娘を溺愛する 〜その後のエピソード〜
「フレンチトーストはどうでした?」

「美味しかったよ。優しい味だった。」

「何か物足りなくないですか?」
果穂はそう言うと、うーんと顔を傾けて考え込む。

「強いて言うなら……果穂の笑顔。」

「そう言うことじゃ無くて…。」
ふふふっと笑って、果穂は照れる。

「シナモンとか、レモンの皮擦ったものとか、何かインパクトつけたいんだよね。
手間だけど、最後に振りかけてみようかなぁ。」

「いいんじゃないか?
客の好みを聞いて最後に仕上げれば。」

「なるほど!さすが翔さん。
良いですね!!そうしよっ。」
嬉しそうに満面の笑みをみせてくれる。

「翔さん、仕事まだあるんですよね?
送っていきますよ。」

「俺も果穂と一緒に帰りたい……。新田に聞いてみる。」

すぐさま、ポケットからスマホを取り出して電話する。
3回のコールで新田が電話に出る。

『お疲れ様です。』

「お疲れ様、あのさ……。」

『ダメですよ!!
今日中に決済の書類が8枚ありますから。
一度帰って来て下さい。
7時からの会食だけは、急きょトラブルの為って嘘ついて延期にしておきましたから、
絶対帰って来て下さい。』

「分かった……今から帰る。」
はぁーと深くため息を吐く。

こんなにも会社に行きたくない日が来るとは……。

果穂が心配そうにこちらを見ながら、店の片付けをし始める。

さっさと終わらせて定時で帰ってやる。
と翔は無理矢理やる気を出してみる。
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