俺様社長は純情な田舎娘を溺愛する 〜その後のエピソード〜

結婚式当日

そして、結婚式当日。

雲ひとつない秋晴れに、
湖畔から爽やかな風が優しく吹き、
紅葉した木々を揺らして木の葉が落ちる。

綺麗な景色を控え室のバルコニーから翔は1人見下ろしていた。

双方の親族との顔合わせも終わり、翔は衣装に着替えて髪型も整えればほぼやる事が無くなった。

後は、果穂の準備が整うまで待機するだけの退屈な時間を過ごしている。

昨夜果穂から貰った、薄ピンク色の便箋をタキシードの内ポケットから取り出して、
飛ばされないよう部屋に戻りそっと読み返す。

『翔さんへ

いつも、いつも私を幸せにしてくれてありがとう。
貴方が私を見つけてくれて、出会えたこの奇跡に感謝しています。

私には何も無いけれど、
翔さんの事を大好きな気持ちは誰にも負けないと思っています。
これからも、ずっとあなたの隣にいられますように。
             果穂より』

ここまで心に響く手紙をもらった事は今まで一度も無かった。

この手紙は俺の宝物になった。

果穂には教会の儀式まで会えない事をもどかしく思いながら、そっと文字を指でなぞる。

ウェディングドレスは最終段階の時点で、
後は当日をお楽しみにと見る事が出来ていない。

人前に立つ事は慣れているから緊張なんてしないが、果穂に会えないこの時間はなんとも言えない不安に襲われじっとなんかしていられない。

朝、式場に来てからすぐに離れ離れにされ、
あれから既に2時間くらいは立つ。
隣の部屋に居る筈なのに会えないもどかしさに思いが募る。
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