ソファーときんぴらごぼう


翌朝、何もなかったようにソファーで寝ちゃったと笑いながら話す彼。

寝てたから覚えてないようだ。

一人でどきどきして馬鹿みたい。

私も何もなかったですという顔をしてお互い朝の準備をする。

とりあえず今日行けば明日明後日お休みだ。

冷凍してる下味付けたお肉解凍して…あと味噌汁…オニオンスープ飲みたいなぁ…
とかぼーっと朝の準備していたから気づかなかった。

「ねえ」

すぐそこで声がするまでは。

「え」

横を向いたら、整ったお顔がすぐある。

秒ぐらいしか見つめ合ってないけど、すごく長く感じた。

「…っ…はい!!!」

すごい勢いで後ろに下がって返事をした。

朝から心臓!に!悪い!ね!

「…」
 
あ、やってしまった…

困り眉の相馬さんを見たら、私、傷つけてしまったのかもと感じた。

「び、びっくりしちゃって…」

しどろもどろ言い訳をする。

「あ、ごめん。ずっと話かけてたんだけど聞こえてないみたいだったから…」

すいません、ご飯に意識が飛んでいました。

「ちょっと考え事をしてて…なんですか?」

「今日金曜で、明日休みだからさ。昨日より遅くなると思うんだよね。

先に寝ててください…。そこまで遅くならないといいんだけど」

どこか遠くを見ている相馬さん。

憂鬱だよね、早く帰れないとか…。

昨日の今日で意識しないわけない。

だから遅くなるのはある意味いい。

お互い仕事の準備をして、職場に向かった。
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