ラスト・クリスマス
ノストフォビア
夜の上野駅で、私はボストンバッグを抱えてぼんやりしていた。

ここに来るのはお盆以来だが、何となく…この雰囲気が好きになれない。

「飛鳥!」

私を呼ぶ声に驚いて振り返ると、なんと大和が居た。

「大和!どうして…?」

「ごめん、いきなり来たりして。なんか…やっぱりどうしても、飛鳥のことが心配で仕方なかったから。かなり大きなお世話なのは判ってるけど、ちゃんと見送らないと気が済まなかった…」

本当に、不思議な人だ。

知り合ってまだ2日。

それなのに、こんなに心配してくれるなんて…。

「大和…私、嬉しい」

胸を打たれて、温かい涙が頬を伝った。
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