ラスト・クリスマス
「えっ…ごめん!泣かせるつもりは全然なくて…」

大和は慌てているが、この涙が悲しみの涙の筈がない。

「だから!嬉しいの…とても」

そう言うと、大和はようやく安堵したようだ。

私が夜行列車に乗り込んだあとも、大和はずっと手を振っていてくれた。

大和が見送りに来てくれる前の、あの荒涼たる心境が嘘のように、心の底から温かいものを感じられる。

寝台に横たわり、瞳を閉じると、温かな気持ちのまま眠ることが出来た。



私にしては珍しく、夜行列車で熟睡したようだ。

大和がやすらぎをくれたお陰だろう。

青森駅に降り立ったものの、今の時期、まだ夜明けは遠い。
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