ラスト・クリスマス
いくら、心の内側で罵倒してみたところで、こんな形で初恋が終わって、心底惨めだった。

鈍行で自宅マンションに戻る途中、都心を通過するのだが、街はクリスマスムード一色で、行き交う人は数えきれないのに、何故だか自分だけがひとりぼっちのようだ。

田舎を嫌って上京してきたのに、今はこの大都会の凍てつくような孤独を痛いほど感じている。

思い切り泣きたいのに、何故か涙が出ない。

ただ、もう恋なんてしたくない…二度とするまいと誓った。


街に出るのも、独りで部屋に居るのも嫌だった私は、登録制の単発アルバイトを、敢えてクリスマスイヴにしようと決めたわけである。

彼とクリスマスを過ごすものだと思い込んでいたので、帰省するための指定席の切符も、26日のものだ。

こんな時期では、日付の変更も出来ない。

本当は、早く帰省して気分転換したかったのだが。
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