契約夫婦なのに、スパダリ御曹司は至極の愛を注ぎ続ける
◇「私がたぶん悠介を好きになっちゃったって話」


『そんなんじゃなくて、ただちょっと気になるっていうか』
『あのね、そういうこと言い出した時点でもう恋におちてるの。むしろ、誰かにそれは好きだってことだよって背中を押してもらいたいから相談してるっていう説まであるよ』

バイト休憩中、SNSのタイムラインを眺めていて、突然流れ出した漫画CMに手が止まる。
可愛らしい女子高生が交わす会話がなんだかとても心当たりのあるものだったので、先が気になり、携帯に顔を近づけた。

『でも、ずっと幼馴染としてしか見てこなかったんだよ。男子とか女子とか、意識してこなかったのに突然、あいつが男子なんだって自覚しちゃって、しかも一度意識し始めたら今までの色々な思い出が浮かんでドキドキして……これって本当に好きなのかな?』
『自分でももうわかってるでしょ。そういう顔してるもん。初恋おめでと。思い切り頑張ってみなよ』

励まされた主人公の女の子ははにかみ、うなずく。
その潔さに心を打たれていると、先ほど〝あいつ〟と呼ばれていた幼馴染男子とのふたりきりの教室に場面が切り替わる。

『あのね、私……っ』
『俺さ、今度の大会で優勝したらおまえに伝えたいことがあるんだ。ずっとそれを目標に頑張ってきたから……それまで待っていて欲しい』

真剣な幼馴染男子に、主人公は『うん。待ってる』と微笑む。それを見た幼馴染男子は衝動的に主人公を抱き締め『ごめん。ちょっとだけ──』と、唇が重なる寸前で映像が終わり、この漫画のタイトルが大きく表示された。



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