ハイスぺな俺が北川さんに相手にされない
翌朝。
俺は北川さんの悲鳴で目が覚めた。
「きゃあーっ!」
「ん……」
「加瀬さん!どうしたんですか!?
大丈夫ですか?!」
「んんん…」
「ちょっと待って下さい!
今助けます!」
北川さんの寝起きはとてもかわいかった。
前髪が発芽したように、
上に向かってのびている。
「もしかして、昨日の夜、強盗が入ったんですか?」
北川さんは、俺の口をふさいでいたガムテープを
ゆっくりはがした。
そして、ペン立てからはさみを持ってきて、
手首に巻き付いているガムテープを切っていく。
「違う。俺が自分でやった」
「えっ!?」
そう、俺は寝ぼけて北川さんを襲わないように
ガムテープで手首を拘束し、
キスも阻止するために、口もふさいだのだ。
これで絶対間違いは起きない。
さすが、俺。賢い。
「なんだ…もう…びっくりするじゃないですか…」
「北川さんが昨日、
ここで寝落ちするから、
こんなことになったんじゃん」
「う…ごめんなさい」