ハイスぺな俺が北川さんに相手にされない

翌朝。

俺は北川さんの悲鳴で目が覚めた。

「きゃあーっ!」
「ん……」
「加瀬さん!どうしたんですか!?
大丈夫ですか?!」
「んんん…」
「ちょっと待って下さい!
今助けます!」

北川さんの寝起きはとてもかわいかった。
前髪が発芽したように、
上に向かってのびている。

「もしかして、昨日の夜、強盗が入ったんですか?」

北川さんは、俺の口をふさいでいたガムテープを
ゆっくりはがした。

そして、ペン立てからはさみを持ってきて、
手首に巻き付いているガムテープを切っていく。

「違う。俺が自分でやった」
「えっ!?」

そう、俺は寝ぼけて北川さんを襲わないように
ガムテープで手首を拘束し、
キスも阻止するために、口もふさいだのだ。

これで絶対間違いは起きない。

さすが、俺。賢い。

「なんだ…もう…びっくりするじゃないですか…」
「北川さんが昨日、
ここで寝落ちするから、
こんなことになったんじゃん」
「う…ごめんなさい」



< 156 / 206 >

この作品をシェア

pagetop