ハイスぺな俺が北川さんに相手にされない


どうしよう、俺、
浮かれすぎて仕事に集中できない。

「なぁ、イケメン」
「はい!」
「なんかいいことでもあった?」
「え?いや、特には」

田中さんは目を細めて俺をじっと見つめる。

「さっきからずっとにやけてるじゃん。
もしかして、いやらしいこと
考えてんのか?
昼間っから」
「ちっ…違いますよ!」

危ない危ない。

クールな俺なのに、危うく感情が表にでるところだった。

気を引き締めないと。

と、背筋を伸ばした時、
内線電話がかかってきた。

社長からの呼び出しだ。

またドイツ語通訳の依頼か?

「失礼いたします」
「あぁ、加瀬君。忙しいところ、
呼び出してすまないね」
「いえ」
「実はね…」



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