もう一度、重なる手
「そういえば、フミは暑いときはアイスばっかり食べてたな。ムリして食べろとは言わないけど、何も食べないのもダメだよ」
「わかってる。普段はちゃんと食べてるよ。それよりアツくん、注文するなら早く行って来て」
「フミの分もなにか食べられそうなもの買ってこようか?」
「大丈夫だよ。自分のだけ買ってきて。早くしないと、私の昼休みが終わっちゃうよ」
私はもう小学生じゃないのに……。
アツくんの心配性で世話焼きなところは昔と変わってない。
心配されて嬉しい気持ちと少し恥ずかしい気持ち。その両方に頬を染めながら、私はアツくんの背中をレジの方にグイグイ押した。
「わかった、わかった。すぐ買ってくるから」
クスリと笑うと、アツくんが私のことを宥めるようにポンポンッと頭を撫でてくる。
「アツくん、人前で恥ずかしいよ。私、もう子どもじゃないのに」
「あぁ、ごめん、ごめん。すぐ戻る」
アツくんが、スッと優しく目を細めて私の頭から手を退ける。そのまなざしに、私は自然と心音が速くなるのを感じた。