明日、この命が終わっても
ローガンの家は、周りの家よりもずっと古くどこか荒屋のように見える。彼の家は貧しいのだ。ここでローガンは両親と共に暮らしている。

「ローガンの部屋はここか……」

二階の一室がローガンの部屋である。カーテンのない窓からラーグリマが覗くと、ローガンはボロボロのベッドの上で寝息を立てていた。

薄汚れた窓をすり抜けてラーグリマはローガンの部屋に潜入する。ボロボロで汚れが染み付いている部屋の中には、ボロボロのスケッチブックやイーゼルなど絵に関するものが置かれている。とは言え、絵の具や色鉛筆、クレヨンなどはほとんどないのだが……。

スケッチブックにラーグリマは目を向ける。そこには一匹の大きな犬の絵が描かれていた。その絵を見てラーグリマの目が見開かれる。

「これ……」

その犬は、まるで本当に目の前にいるようにリアルだった。長い毛の一本一本、犬の大きな瞳の中に映し出されている光、フサフサの尻尾と嬉しそうな表情、全てが本物のようである。
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