この胸が痛むのは
後ろめたさからクラリスに責められている、と
思ったからだ。


2年前、リヨンの第1王女の結婚式にギルバートと俺は出席した。
リヨンの王太子の結婚式なら王太子夫妻が出席
するが、第1王女と国内の公爵家嫡男との結婚式なので、俺達が参列したのだ。
そこで初めてフォンティーヌ王女に会って、その姿に驚いた俺に。
挨拶に来てくれた元第1王女が微笑みながら言った。


「妹はぞうさんと呼ばれていますの。
 もうお年頃なのに、よく食べて。
 我儘も酷いし、いつまでも子供みたいでお恥ずかしいわ。
 子供にしては、身体が大き過ぎますわね?」

俺とギルバート、元王女と夫の小公爵。
4人で笑って……。
こっちに帰ってきてから、土産話としてバージニアとエディに聞かせた。


今夜初めてちゃんと会話して、この王女は俺なんかより。
生まれながらの王族なのだと思った。
容姿の美しさなんて関係ない、自然に人に慕われる。
そんな女性に、俺は……俺は何て事を。

一方からの言い分を鵜呑みにして、面白いからと無責任に広めた。


こんな男に人が集まらないのは、当たり前だ。

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