この胸が痛むのは

第21話

アシュフォード殿下が来週末に行われる、ご自身の生誕記念夜会のパートナーに姉のクラリスを望まれている、と教えてくれたのはメイドのレニーでした。 

レニーは私より5歳上で、侯爵家の使用人達の中で一番若いメイドで、主に私に付いてお世話をしてくれていました。


殿下からの書状が届けられた時、執務室で話す
両親と姉にお茶を出していたメイドが会話を聞いて、レニーに『内緒だよ』と、教えてくれたのだそうです。
主人の会話が耳に入るのは不可抗力とも言えますが、それを同僚に話すなんて通常であればそれは誰なのか、誰何しなくてはいけない話なのに。

そんなことより、殿下がクラリスを……
やはり、あの日の私の予感は当たっていました。
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