この胸が痛むのは
「あぁ、なんて素敵なんでしょう。
 クラリスお嬢様なら第3王子殿下と本当にお似合いですもの。
 アグネスお嬢様も、お鼻が高いですね」

「……」

「殿下がこちらに何度か来られましたでしょう?
 その際にお見初めになられたのでしょう」

何度か、って2度だけど。
その時に見初めたんじゃないわ。
私の付き添いで、王城に私が、連れていったの。
学園では交流がなかったのに、そこで殿下は
クラリスを……


私の鼻が高くなる事は、もう無い。
『友達になろう』と言われて得意になって。
愚かにも高くなっていた私の鼻は、もう
ぺっしゃんこに潰れてる。
メイドのレニーが悪いんじゃない。

彼女からは今までも何度も、色んな話を聞いて
いました。
嫌がるような話は聞かされた事はなく、私が好みそうな、面白い楽しい話ばかり。
今回だって、私を喜ばせようと教えてくれたのです。

だから、レニーが悪いんじゃない。
子供の私が……悪いんだ、と思いました。
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