この胸が痛むのは
「そんな事してないと思います。
 調理場で貰ってきた、料理長が祝福したお水だと思います」


「……本当に君もだけど、君の姉上も兄上もおかしな子供だよねぇ」

先生からしたら、あの姉も私と同じ子供なんだ。
それを凄く嬉しく思う私でした。


昼食をここで是非、とシュトウブさんに勧められて、私達一同はレストランを併設した小さなホテルを訪れました。


「ここはバロウズ出身の女将なので、料理もお馴染みの味でしょし、男主人も言葉が通じます」


ホテルに入ると、フロントの所にもやはりヴァンパイア王の肖像画が掛けられていて。
この肖像画には美しく彩色がされていました。


「王様の目が赤い……」

私の小さな呟きを聞いた女将さんが
『彩色された肖像画を見られたのは初めてですか?』と、聞いてきました。
多分旅の途中で何枚か見たのでしょうけれど、



真正面からじっくり見たのは初めてで。


「王家の赤ですよ、王の血筋のみが赤い瞳なのです」

「……」


ここで私は、先生の『ストロノーヴァ』がヴァンパイア王の弟公爵の勇猛公の姓である事を知りました。
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